ごたごたと人の行き交う通りを、土方は真っ直ぐに歩を進める。
初冬の陽は疾うに地平線の下に落ちきっているが、土方を包む黒スーツがその身を宵闇に溶け込ませることは無い。
夜八時。通りの両脇にネオンが光るこの界隈は、今からが漸く本番だ。
笑いさざめく雑踏を歩けば、鼻につくのは酒と香水と金の匂い。
外面の煌びやかさに比例するように抱えた後ろ暗さが、不健全な快楽を空気中に漂わせている。一つ、息をするごとに、この街に染まっていくと錯覚させるほど。
土方の肩にグラサンの男がぶつかって駆けていく。すまねぇ、と謝罪の台詞もそこそこに走り去った男の背は明らかに追われる者の様相を呈していたが、土方自身も含め、周囲の人間が気に留める様子は無かった。
駆け足も千鳥足も、怒鳴り合いも路上キスも追うも追われるも。風景の一部としてしっくりと溶け込んでいる。ここはそういう街だ。
だがしかし、土方は本来、目の前の事象を漠然と捉えるのを良しとしない質だった。
それが或る種の職業病か、それとも元々の性質なのかは定かでないが。平素この街を歩く時の土方の眼は、雑踏を集団としてではなく個々の人間として冷静に観察していた。
だから。土方が今日に限ってその男に意識を向けなかったのは、別の一事に沈思していたからに他ならない。
これから行く先に待っているものへの緊張と逡巡が、土方の脳髄を捕えて離さず。黒い皮靴の底からスラックスの裾を絡めとるようにして、足取りを鈍らせている。
ふと思い立って懐の財布を確認したのすら、男とぶつかった位置から十数歩進んだ後で。どれだけ気を散らしているのかと土方は自嘲した。
スリも疑えなくなっているとは、まったく散漫にもほどがある。
幸い、あの男は本当にただ追われていた「だけ」だったようで、スーツの内ポケットにはきちんと財布が収まっていたのだけれど。
ほんの二ヵ月前の自分であれば、見知らぬ男にぶつかられればその瞬間に相手の手首を捻りあげていたことだろう。無論、低沸点な怒りの発露ではなく、ただ自衛の手段として。それはこの街で舐められずに生きるためには必要な能力だった。
――嗚呼、そうだ。
まさにその必要な能力を失ってしまったから、自分はこの街を出ることを選んだのではないか。
それなのに何故またここへ足を踏み入れているのか。
行く手に何かを期待してのことだとしたら、それこそ馬鹿だ。土方は短くなった煙草を吐き捨てて、新たな煙草に火を点ける。
……スーツの内側に手を入れた瞬間、周囲に一瞬緊張が走るこの街の物騒さにも、もう慣れて久しいのに。
唯一つの事に心惑わされて、街を出ざるを得ぬまでに追い込まれた自分を。
土方は暝く、嗤った。
気付けば目的の場所は目の前で。土方は思わず足を止める。
ギラギラとネオン輝く街並みにあって、その外観はシンプルで纏う光も簡素。黒く平たい箱のような低階層の建物に、ありふれた形の黒い扉。扉に書かれた金色の横文字と、その文字を照らしだすスポットライト。
余分な物を一切削ぎ落としたような造りは、一つ間違えば周りの煌びやかさに埋もれて霞みそうにも思えるけれど。
その外観でこの街の中心部に居を構えられていること自体が、逆に揺るぎない存在感となって周囲との格の違いを漂わせている。
土方はしばしその場に立ち尽くした。
放たれるオーラに竦んだわけではない。目の前の建物が如何に堂々たる佇まいを見せつけようと、土方がそれに気圧されることはあり得なかった。
ただ、相変わらずだと。かつての職場の未だ堕ちぬ貫録に、安堵にも似た感覚を覚えるだけだ。
土方の足を留めさせたのは、果たして自分がここへ足を踏み入れてよいのかという、今更な逡巡。
――ここまで来て何を。
土方は自嘲して足を踏み出した。
ここで引き返せるのなら、そもそもこの街自体に足を踏み入れやしないのに。何を往生際悪く迷っているのだろう、自分は。
漆黒のドアの前に佇んで、上品な金色のノブに手を伸ばす。
指先がノブに触れた瞬間にピクリと震えたのは、ひやりとしたノブの温度のせいでも、静電気のせいでもない。このドアを開けることへの、無意識の躊躇だ。
ひとつ、深い息を吐いて、覚悟とともにノブを握る。ゆっくりと押し開ければ、流れ出してくるのは適温の空調と小音量のミュージック。
この音楽が控えめなBGMなどではなく、地下から漏れ聞こえてくるものだということを土方は知っている。
嗚呼、知らない曲だ。新しいプログラムなのだな――
そう思った瞬間に、ドクリと沸き立った心臓に土方は足元を掬われるような錯覚を覚えた。
新しい、プログラム。知らない構成。
自分が見たことのないショーが、この足下では展開されている。
知らずと立ち竦んだ土方に、正面のカウンターに佇む女性がにこやかに声を掛ける。
「いらっしゃいませ。ようこそShow restaurant GOLDへ。ご予約のお客様でいらっしゃいますか?」
「あ……ああ、いや、予約はしていない」
丁寧な物腰の受付嬢に、土方は寸の間、返答に迷いながらもそう応えた。するとほんの一瞬、女性の眉がくもる。
「申し訳ございませんお客様。本日はテーブルが予約で満席になっておりまして、只今は上階の立ち見席にしかご案内できませんが……」
心から申し訳なさそうに告げる受付嬢に、土方は微かに口角を緩めた。
満席、当然だ。“GOLD”に当日飛び込みで入ろうなど、本来は嘲笑をもって追い返されても致し方ないところ。立ち見席が空いていることすら奇跡に近い。
それにもかかわらず慇懃な接客を微塵も崩さないとは、新人スタッフにしては大したものだ。さすがに、行き届いている。志村の教育だろう。
まるでこの店に勤めて久しいかのような堂に入りっぷりだが、彼女はここで働き始めて二ヵ月も経っていないはずだ――土方の顔を知らぬことが、その何よりの証拠だった。
土方はまた少し迷ってから、立ち見で構わない、と応えて財布から数枚の札を手渡した。
新人受付嬢は笑顔でそれを受け取ると、釣りの硬貨とワンドリンクチケットを上品に土方に差し出し、完璧な口上と仕草でメインホールへの階段に続く扉を押し開けた。ランク評価、A2。いい新人を雇ったな。……そう考えて、内心で苦笑する。
何を、偉そうに。今の自分にはこのスタッフに評価を与える権利など欠片もないというのに、そんな事すらまだ判っていないのだろうか。
押し開けられた扉をくぐれば、目の前には下り階段。一段一段踏みしめて下りるごとに、耳へと届く音楽は次第に大きくなっていく。
B2Fまで下りたところで、土方は階段を離れて横手の廊下に出た。メインホールの入口はB3だが立ち見席はB2。先程の受付嬢もそう案内していたはずだった。土方には当然のことすぎて大半は聞き流していたが、わかりやすい案内であったように思う。
『当店のホールは地下3階から1階まで、三階層吹き抜けになっております。立ち見席は地下2階部分の周壁からベランダのように張り出しまして、下方のステージを見下ろす形でございます』
『オープニングパフォーマンスは既に始まっておりますが、まだまだショーはこれからでございます。どうぞごゆっくり、お楽しみ下さいませ』
既に朧げになっている彼女の声を反芻しながら廊下を数歩進み、観音開きの大きな扉の前で立ち止った。
――この、扉の向こうには。
俗世間と切り離されたかのような煌びやかな空間が。まだ二ヵ月しか経っていないのに奇妙に懐かしく感じる、あの別世界が広がっている。
ひとつ深呼吸をして、土方は扉に手を掛けた。
戸を開けた途端に流れ出たのは音楽。足を踏み入れた途端に身を包んだのは熱気。
空調は適温に保たれているはずなのに、この空間には何故か熱気が満ちている。決して不快な温度ではない、客の歓声とパフォーマーの呼吸で昂揚した空気だ。
薄暗く照明を落とされた店内で、天井のあちこちから伸びるスポットライトの光はすべて下階のステージへと向かっている。
「Sir,お飲み物は?」
一歩中へ踏み出したところで横合いからホールスタッフに声を掛けられて、土方は少し躊躇ってから、ビア、の一言とともにドリンクチケットを手渡した。
スタッフは会釈して壁際のカウンターに入ると、サーバーから手早く、かつ美しく生ビールを注いだグラスを手に戻ってくる。提供までの秒数を無意識に数えている自分に気付いて、いい加減にしろと己に呆れた。
礼を言ってグラスを受け取り、土方はホールの内側――立ち見席へと歩み寄る。
万が一にも転落事故などないように高めに設計された柵には、既に観客が鈴なりになってステージを見下ろしていた。
出来る限りステージが見やすいようにと工夫された角度ではあるのだが、それでもやはり遠くて見難いのだろう。多くは身を乗り出すように、また幾人かはオペラグラスを手にしている。
自分はおそらく、先程のホールスタッフに一声かけて名を告げさえすれば、スタッフ待機席という名目の特等席に案内してもらうこともできるのだろうけれど。
まさかそんなことをするつもりもないと、土方は居並ぶ客の中に何とか一人分の隙間を見付けて滑り込んだ。
そのまま下を見下ろして……目に飛び込んできた光景に、思わず、息を呑む。
下階のホールに並ぶ幾つもの丸テーブル。
そこに掛けている観客、すべての視線が、今はステージの上に向けられている。
ステージ上には、数人の男。
ブラックスーツに白い開襟シャツ、細身の黒ネクタイ。
オープニングにふさわしいアップテンポな曲にあわせて、見事なダンスを披露している。
――今日のプログラムは、オープニングからダンスなのか。
そう思った瞬間に、ドクリ。金縛りにあったかのように、土方の足はその場に縫いつけられた。
ダンサーが踊りながらステージ上を二手に分かれて、そこに奥からもう一人、男が現れる。
他と同じスーツ姿に、一人だけ被った中折れ帽。
客から沸き上がる歓声も、ただステージ中央に歩み寄っているだけのはずのその動きも。明らかに、他のダンサーたちとは一線を画していて。
ダン!大きなドラムの音で変わった曲調。スポットライトがその男を切り抜く。
白手袋をはめた指先が中折れ帽を飛ばして、ふわりキラリ、照明を跳ね返すのは金の髪。
踊り始めれば、場の空気は一瞬でその男のもの。
(――初っ端から、坂田、か……思いきった構成だな)
己が息を止めていたことに気付いた土方は、気を取り直すように胸の内に呟いて細く深く息を吐いた。
自分がいた頃には、こんな構成はなかった。
エース・パフォーマーを惜しげもなくオープニングから投入するなど。
坂田はおそらく、ショーの半ばになるまで出て来ないだろうと思っていた。
だから、オープニングの間だけならばとステージを観にきたのに。
こんなことなら、立ち見席になど入らずに直接控室へ行くべきだったと土方は悔いた。
――悔いながらも、その場を動けずにいる。
坂田の一挙手一投足は、ホール中の視線を否応なく集めて離さない。
それは、数ヵ月前まで同じ職場にいて、ステージの上以外での坂田の驚くほどだらしない素顔を知っている土方でさえも、例外ではないのだ。
……嗚呼、違う。
本当は、例外でなくてはならなかった、のに。
ギリ、と爪の先を掌に食いこませて、土方はステージを凝視した。
曲の盛り上がりは最高潮に達している。オープニングダンスはそろそろラストパートが近いようだ。早く、この場を立ち去らなくては。
オープニングが終われば、一旦客席の照明がつく。そうすれば、さり気ないふりをして油断なくホール中に目を配っているあの男のことだ。立ち見席の観客に紛れている知った顔に、気付かぬという保証はなかった。
フロアに張り付いてしまったかのような靴底を引き剥がして土方は踵を返した。クライマックスの昂揚を背に、なるべく目立たぬようにして観音開きの戸をすり抜ける。
そのまま早足に廊下を数歩。階段に差し掛かったところで、ビアグラスを持ってきてしまったことに気付いて苦笑した。
仕方ない。今から返しに戻ってはちょうどオープニングが終わってしまう頃だ。このまま控室に持っていって置かせてもらおう。
階段を下りてB3Fへ。客席への大扉を無視して、『staff only』の札が立つ向こうへ足を進める。
誰も止める者がいないことに警備の不安を感じて……自分が口を出すべきところではないと、また、自嘲した。
シックながらも豪奢だった表とは打って変わって簡素な廊下を進み、一枚の戸の前で立ち止まる。
ノックしようと持ち上げた右手が――ピクリと一瞬、躊躇に固まって。
この店に入る時に一度。ホールへの扉を開ける時に一度。そして今で三度目。
俺は今日、何度、扉の前でためらえば気が済むのだろう。
苦く笑って、右の拳を軽く握りなおす。
思い切るように二度、コツ、コツと戸を叩けば、中から返ってくるのは聞き覚えのある声。
ガチャリ、丸ノブを回してドアを開ける。努めて平静な顔で中に入れば、ソファに腰掛けていた青年がこちらを見て驚いたように腰を上げた。
「土方さん!?いらしてたんですか!」
「ああ。すまねぇな、急に押しかけて。……入っても?」
「もちろんですよ!どうぞ掛けて下さい。ちょっと散らかってますけど」
見事な割れアゴの青年は、眼鏡の奥の人の好さそうな瞳を細めて土方にソファを勧めた。
ローテーブルの上に広げられていた資料を手早く片付けるのへ、悪い、と再度謝意を示せば、そんな、とんでもない、と心からの歓迎が返ってきて土方はフッと肩の力を抜いた。
控室に居たのが、この男で……志村だけで、よかった。
もしここに居たのが他の人間で、なおかつ、こちらの顔を見て怪訝な顔でもされようものなら。自分はその時点で踵を返していたかもしれない。
内心で胸を撫で下ろしている土方には気付かぬ様子で、眼鏡の青年、志村は、ニコニコと人当たりのよい笑顔で再びソファを勧める。
「あ、土方さん、何か飲み物でも……って、それ」
左手に持ちっぱなしのグラスに目をとめられて、土方は苦笑を零して肩を竦めた。
「ああ、悪い、つい持ってきちまった。後で返しといてもらえるか?」
「いえ、それはいいんですけど、土方さん、客席から見てたんですか?しかもそれB2のグラスじゃないですか!そんな、言って下さればこちらで席を……」
「いや、気を遣わないでくれ。そんなに長居するつもりもねェから」
「でも」
「いいから」
少し強い口調で遮れば、志村はそれ以上は踏み込まずに、そうですか、すみません、とあっさり引きさがった。
相変わらず空気の読める男だ。この店で職に就くずっと前はNo.1ホストだったという噂も、あながち嘘ではないのかもしれない。志村と二人で話す度に土方はそう思う。
志村は土方がソファに腰を下ろすのを待って向かいに腰掛けると、親しげな笑みを浮かべて軽く頭を下げた。
「改めて、お久しぶりです、土方さん。来ていただけて嬉しいです」
「ああ、久しぶりだな……とりあえず、邪魔にはされねぇようでよかったよ」
「何言ってるんですか。土方さんを邪魔だなんて、そんなこと言う人いませんよ」
どうだかな。
冗談としか受け取っていない志村の返答に、声には出さずに呟いて土方は哂った。
志村の言葉を疑っているわけではない。彼は本気でそう言ってくれているのだろう。この歓迎が演技でも社交辞令でもないことは、いかに捻くれた己でも判るというものだ。
――だが。
(……例えば、アイツが、ここに居たとしたら)
俺を決して、手放しで歓迎はしないだろう。
まず、何故ここにいるのかと戸惑いをその瞳に浮かべて。
それから、何しに来たのだと眉を顰めるに違いない。
濃い金色の秀眉が訝しげに寄せられる様をリアルに想像して、土方はふるりと緩く首を振った。
どうしました、と志村がこちらの顔を覗き込むように少し身を乗り出す。どうやら体調でも悪いように見えたらしいと悟った土方は、軽く片手を上げて問題ないと示した。
考えても詮ないことに頭を痛めるなんて、馬鹿げている。
少なくとも、今ここにあの男はいない。来ることもない。ヤツは今頃ステージ上で喝采を浴びているか、でなければ舞台裏で次の出番に控えているはずだった。プログラムが終わるまでは、この部屋に戻ってくることはない……ならば、考える必要もない。
「すまねぇ、何でもない……で、用件なんだが」
「ああ、やっぱり、ただ観にきてくれたってわけじゃないんですよね」
「残念ながらな」
予想はしていたという風に、それでも少し残念そうな顔をしてみせた志村に、土方も苦笑で返す。
――ああ、本当に。ただ単に、一人の観客として観に来られたのなら良かったのに。
そう思う心を押し殺して、努めて平然と。
「実は、ちょっと聞きてぇことが……」
一つ、ひそかな深呼吸の後に、そう切り出しかけた土方の台詞は、しかし。
バンッ!と、派手な音とともに開いたドアと。
「オイぱっつぁん!!客席にフロアチーフの姿がねーんだけど携帯に電話するぞいいな!?」
血相変えて飛び込んできた金髪の男の声に、遮られた。
咄嗟に顔を逸らすこともできず、入ってきた男を凝視して、固まる。
男もまた、一瞬後に来客の姿に気付いて目を瞠った。
「………………」
「…………土方?」
呆然と、問いかけというよりは無意識の呟きに近い坂田の声に、ピクリ、土方の指先が震える。
何を、言うべきか。何か、言うべきなのか。
回らない頭で、ただ坂田を見返せば。向こうも、黙ってこちらを凝視するばかりで。
もう堪えられない、と思うほど長く感じられた沈黙は、おそらく実際はほんの一、二秒のことだったのだろう。緊迫した志村の声が、助け舟のように双方の金縛りを解いた。
「金さん?長谷川さんがいないって、本当ですか!?」
「あ……ああ、客席のどこにもいねぇ。あのオッサンがプログラム開始してからフロア離れるとかあり得ねーだろ。ぱっつぁん何か聞いてるか?」
「聞いてませんよ!おかしい……絶対おかしいですってそれ!」
「だよな。やっぱすぐ携帯にかけるわ」
パチリ、と片手で携帯を開く坂田を見ながら、土方はようやく働き始めた頭で、たった今目の前で交わされた会話を反芻した。
長谷川。聞き覚えのある名だ。確か、土方と入れ替わりでこの店に入った男の名前。遠くからだが、何度か顔も見たことがある。
そこまで考えて、脳裏を過った映像に土方は顔を引き攣らせた。
――今日、この店に来る時、通りでぶつかった男。
あの時の自分は呆れるほどぼんやりしていたから気が付かなかったが、改めて思い出してみれば、あの顔は。
「……おい。そいつ、来る時に見かけたぞ」
「え!?ほんとですか土方さん!」
低く発した声に、志村が勢いよく振り返る。
どこで、と問われるよりも先に。
「何か知らねーが……追われてた、みてぇ、だったが」
そう、言ってやれば。
途端に顔色を変えた志村と坂田に。
どうやら、坂田との二ヵ月ぶりの邂逅が、曖昧なまま過ごされることになりそうな事件の臭いを感じて。
果たして己がそれに、安堵しているのか落胆しているのか。
――今の土方には、判らなかった。
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…という夢を見ました。
ええ、ここで目が覚めました(チクショウ)
そんなわけで、彼らがこれからどうなるのか、長谷川さんがどんな事件に巻き込まれているのか、二ヵ月前に一体何があったのか、
何にもわかりませんむしろ私が知りたい!!
なんとか形にしようと頑張ったんですが、どうしても続きが思いつきませんでした。
なのでとりあえずここまでで……すみませんすみません(土下座)